中山信弘 著作権法 3版
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日本の知的財産法学・著作権法学を牽引してきた著者渾身の体系書
2020年09月発売
テキストであり、現行法の解釈論が中心
ただし著者は未来を見据えて書いている
まえがき
現行著作権法は自然人だけが創作という行為をなしうるということを当然の前提にしているが、やがて人の手を煩わすことなく、著作物らしきものが作成されるようになるであろう。
LLMとお絵かきAIが実際に大衆に触れるようになった今、これは現実になった(2022後半〜) 現行法は,そのような事態を全く想定しておらず、難しい問題ではあるが,いずれは根本的な法改正を含めた議論も必要となろう。
頑なにフェアユースを否定していた立法当局が突然改正した
高く評価する
ただし、パロディは重要だが手付かずであり今後議論すべき
実体法はベルヌ条約で定められておりこの改正は超むずい(全会一致しないといけない) ということは結局現実的には
契約と技術、集中処理によって現実に合わせた実務を形成する
法改正して拡大集中許諾(ECL)を作る
特許法と比べると著作権法がわかりやすくなる
権利の主体と客体は著作権法の場合侵害の場で問題になる。この実務に沿ったダイナミックなスタイルのテキストに田村がある
本書は体系的に書くためにスタティックな旧来のスタイルを踏襲する
判例評釈は判例の理解の上で大事だから研究するときには調べて読め 目次
細かな目次もある
序章 著作権法の意義
第1節 はじめに
コンテンツビジネスの発展とともに、ビジネスロー、産業政策的な色が濃くなった コンテンツは経済財
条約改正の国際交渉は文化の発展という理念の追求ではなく経済的な利害衝突をしている 日本のコンテンツ産業の成長率は低く、著作権法が足を引っ張ってはならない
ビジネスローと割り切れば整理しやすいが、ビジネスとはかけ離れた金に還元できない活動も著作権法の範疇なのでこの観点で割り切れない
著作権法が複雑な原因
環境が変わっても、法の基本的な原理を変えることは困難
人格権を重視し、財産権は物権的構成なのは19世紀から変わっていない
著作物が経済財としての性格が強まっている実態にそぐわなくなっている
しかしインターネットも技術もない時代を前提に作った法律は流石に変えないと困ることが多い
でも国内法だけじゃなくてベルヌ条約もかえるのちょーむずい!
デジタル技術の登場がこれまでと一線を画す大変革
これまでは情報は媒介物があったのでそれを前提に物の所有権という法制度を借用して情報を保護していた
デジタルによってこの前提はなくなった
一億総出版社にもなった
著作権強化とコモンズ思想が争っている。当分確執は続く
アメリカSOPA廃案
今まで著作権法は改正が少なかったが平成以後はたびたび改正している
しかし先の構成から、小幅な改正にとどまる
著作物の流通や利用が難しい問題
著作権は強力な排他権
利用が個別契約を基礎にしているので大量の処理が困難
JASRACのようなシステムがでればいける
著作権があるんだがないんだかの判定が難しい
一般人にも理解できてデジタル対応する法にしたい
全国民が関係する法律なのでそうあるべき
あいつぐ法改正で蛸足状態になり専門家でも理解が難しくなっている
正確性をきすためか条文が長文で難解
具体的な課題
フェアユース
JASRACみたいな集中管理&許諾の仕組み
裁定制度の簡略化
デジタルアーカイブのための権利制限規定
孤児著作物
著作権法と契約法の緊張関係の問題
オーバーライドをどこまで許すのか
人格権と財産権の関係の問題
実際は財産権の問題だろうに人格権(同一権保持)で争われてしまう
というわけで著作権法はいま、混沌としている。当分混沌とし続けるだろう。憂鬱な時代だ
第3節 今後の展望
第1章 著作物 (著作権の客体)
第1節 総説
第3節 著作物の例示 (著作物の種類)
第8節 権利の対象とならない著作物
第2章 著作権の主体
第1節 総説
第2節 著作者=創作者
第3節 著作権の共有
第4節 著作権者
第3章 著作権の内容
第1節 保護範囲と権利内容の一般論
第4節 著作権の制限規定
第4章 取引の対象としての著作権
第1節 権利の移転 ( 61条)
第3節 信託
第4節 利用許諾 (ライセンス)
第5節 強制執行
第5章 著作権の発生・消滅と保護期間
第1節 保護期間の考え方
第2節 保護期間 (51条以下)
第1節 著作者人格権総論
第5節 その他の著作者人格権
第7章 著作隣接権
第1節 序説
第5節 取引の対象としての著作隣接権
第8章 侵害と救済
第1節 侵害の要件
第4節 刑事罰
補遺 令和2年改正著作権法の解説
事項索引
判例索引